祝宴 (ハヤカワ・ノヴェルズ 競馬シリーズ)

祝宴 (ハヤカワ・ノヴェルズ 競馬シリーズ)

 祝宴 (ハヤカワ・ノヴェルズ 競馬シリーズ)
 出版社:早川書房
 発売日:2007-12
 レビュー評価の平均:(4.0)

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レビュー評価:(4)
競馬シリーズ、「再起」で復活。そして今度は、息子さんとの共著で新作登場。
舞台はニューマーケット。レストランのオーナーシェフ、マックス・モアトンは2000ギニーレースの前夜祭で料理を担当するが、本人も含めて多くの人々が原因不明の食中毒にかかってしまう。しかもレース当日、マックスは貴賓席で行われるスポンサー企業のパーティ料理もこなさなければならない。必死の思いで作業を終えた途端、場内で爆発が発生する。

いつものようにリサーチはていねいで、ストーリーにうまく溶けこんでいます。結末がややあっさりとしているのは、気のせいかな?
今後もこのシリーズが続くことを願っています。

レビュー評価:(4)
真摯で好感の持てるシェフが主人公。
競馬、ポロ、料理、音楽の話題が織り交ざっていますが、シェフとヴィオラ奏者との恋がメインとなっています。
何度も深刻な被害に遭遇しますが、被虐的な不快感はありません。
ただし、期待した騎乗シーンがなかったので減点しました。
名翻訳者の菊池光さんの跡を継いだ北野寿美枝さんの訳文が、さわやかで小気味の良い文体で読みやすいです

レビュー評価:(3)
息子フェリックスくん(と言ってももう良い大人だが)との共著とあったので、
まぁお手並み拝見という意地悪な視線で読み始めたのも悪かった。

今までのフランシス作品には、自然と人物や情景が目に浮かぶような
視覚的な効果も素ん晴らしかったのに、今回はそれが起こらない。
だからなのか、登場人物の人間像もいまひとつ明確に浮き上がってこない。
主人公が一体だれと付き合うのか、最初から「この人?えっこの人かな?」と
無駄な推測に時間を費やされてしまった。
だって出てくる女性の描写がものすごく少なくて、
若いのか年寄りなのか、性格良いのか悪いのか、一読では判断できないんだもん。
それも作者の手だったんだろうか?
唯一「この人は良い人だ!」とすぐにわかったのは、主人公の隣の家に住む女性だけだった。

とは言っても、フランシスの香りはそこはかとなく漂う一冊。
なんだかんだ言っても、次回作も読む気まんまんです。

レビュー評価:(4)
イギリス、ニューマーケット競馬場の近くに店を開く、マックス・モアトンは、史上最年少で
ミシュランのひとつ星を取った男だった。そんな彼に、身の覚えのない「食中毒」の嫌疑が
かけられる。そして、その直後に遭遇する爆弾テロ。これ偶然か、それとも・・・。

かつて、評論家:青木雨彦氏は「作家は、しばしば自分の作品に登場する主人公をさして
”◯◯(主人公の名)は私だ(俺だ)”という。しかしながらディック・フランシスにだけ
は、絶対にそのセリフは、言わせない!」と言った。彼:ディック・フランシスの生み出す
主人公があまりにも魅力的であるがための嫉妬であろう。
今回の主人公もいい。31歳、史上最年少でミシュランの星を受けた男料理人(シェフいや、
ここはあえて、コックと言うべきか)。繊細で野心家、暴力は好まないが、その前に屈服する
のも好まない。典型的な「競馬シリーズ」の主人公だと思う。

本作は、ディック・フランシスと息子:フェリックス・フランシスの共著となっており、
フェリックスの影響も所々に見られる。たとえば主人公が「グーグル」で手掛かりを検索する
当りはフェリックスのアイディアではなかろうか。
また物語のなかで、主人公とその異父兄:トビイはディック・フランシスと息子:フェリックス
のようでもあり、主人公と彼の恋人となるヴィオラ奏者:キャロラインの関係は、
亡きフランシス夫人:メアリとの関係のようにも思える。

息子との共著になったり、翻訳家が変ったり、これまでのファンの方々には心配される
面があろうと思いますが、今作もしっかりと「競馬シリーズ」しております(主人公は、
骨折しても「鎮痛剤(アスピリン)」を飲んで寝れば復活するし・・・)ご心配なく
お読みください。
本当は、星5つだが、主人公:マックスがあまりにも良い漢(おとこ)過ぎるので
星マイナス1にしました(笑)。

PS.主人公が、或る場面で、命からがら逃げだした時(全裸で!)に助けてくれるご婦人
が好き。


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